- 調査方法: アンプ・DIメーカーの公式仕様とマニュアルを照合
- 実機検証: 未実施
- 専門家確認: PAエンジニア確認前
- 対象: 一般的なXLR DI OUT。個別機のマニュアルを優先
- 最終更新日: 2026-07-30
- 執筆・編集: BASS AMP LAB編集部
DI OUTは、ベースアンプの信号をミキサーやオーディオインターフェースへ送る出力です。スピーカー出力ではありません。接続前にPRE/POST、レベル、Ground Lift、ファンタム電源を双方で確認します。
DI OUTでできること
主な用途は次の2つです。
- ライブで客席用PAへベース信号を送る
- 録音でインターフェースへ信号を送る
アンプのスピーカーは演奏者のモニター、DI信号はPAの客席音という役割分担ができます。
外部DIボックスも同様に、楽器のアンバランス・高インピーダンス信号を、長いケーブル伝送に向くバランス信号へ変換する用途があります。
基本的な接続
ベース ↓ 楽器用ケーブル ベースアンプ INPUT ↓ アンプ内部 DI OUT(XLR) ↓ XLRマイクケーブル ミキサー/オーディオインターフェース
スピーカーを使う場合は別経路です。
ベースアンプ SPEAKER OUT ↓ スピーカーケーブル ベースキャビネット
DI OUT、LINE OUT、SPEAKER OUTは入れ替えられません。特にSPEAKER OUTをミキサーのマイク入力へ接続しないでください。端子名が不明なら通電前にマニュアルを確認します。
PREとPOSTの違い
一般にPREはアンプのEQや一部の音作りより前、POSTはそれらの後の信号を送ります。ただし、どの機能が含まれるかは機種ごとに異なります。
| 設定 | PAへ送る信号 | 向く場面 |
|---|---|---|
| PRE | 比較的加工前の信号 | PA側で独立して音作りしたい |
| POST | アンプ側のEQなどを含む | 演奏者の設定をPAへ反映したい |
Ampeg Ventureの公式説明では、PREはEQ、コンプレッサー、SGT、FX Loopなどをバイパスし、POSTはそれらを含むと案内されています。Eden ModuleはPRE/POSTスイッチを備えます。
Ground Liftは何をするか
Ground Liftは、接続機器間のグラウンドループによるハムを切り分けるための機能です。ハムが出たときにPA担当者と確認しながら切り替えます。
安全アースを外すために電源プラグのアースを切ったり、変換アダプターで無効化したりしないでください。DIのGround Liftと電源の保護接地は同じ操作ではありません。
PadとDIレベル
信号が大きすぎてミキサー入力が歪む場合、アンプ側のDI Level、-20dB Pad、ミキサー側のPadやゲインを調整します。
Eden TN501はDI Level、Ampeg Ventureは-20dB Pad、Eden ModuleはPadを備えます。
接続時はミキサーのゲインとフェーダーを下げ、低いレベルから合わせます。クリップ表示が点く場合は、どの段で過大入力になっているかを切り分けます。
ファンタム電源の確認
ミキサーのXLR入力には48Vファンタム電源が供給される場合があります。アンプのDI OUTがファンタム電源を許容するかは、個別マニュアルまたはメーカー回答を確認してください。
確認できない場合は、PA担当者へファンタム電源を切るよう依頼し、電源投入前に接続計画を共有します。
ライブでの手順
- アンプとミキサー双方の音量・ゲインを下げる
- DI OUTのPRE/POSTを決める
- Ground Lift、Pad、DI Levelの初期位置を確認
- XLRマイクケーブルで接続
- ファンタム電源の扱いを確認
- ベースを通常の強さで弾き、入力ゲインを合わせる
- アンプのモニター音量とPA音量を別々に調整
- EQ変更がDIへ反映されるか確認
- ミュート時と電源操作時の信号を確認
客席とステージの音量は別の場所で確認します。
PREとPOSTの選び方
PA担当者が客席音を作る
PREを起点にすると、ステージ上のEQ変更が客席へ影響しにくくなります。
アンプのEQやドライブを客席へ送りたい
POSTを候補にします。ただし、サウンドチェック後の大きなEQ変更はPA音にも影響します。
外部DIとアンプDIを両方使う
信号分岐、位相、グラウンド、入力レベルをPA担当者と確認します。予備経路として使う場合も、同時接続した状態で事前にテストします。
ヘッドホンOUT・LINE OUTとの違い
| 出力 | 主な接続先 | 注意点 |
|---|---|---|
| DI OUT | ミキサー、インターフェース | XLRバランスが一般的 |
| LINE OUT | ライン入力、外部機器 | レベルとバランス/アンバランスを確認 |
| Phones | ヘッドホン | ミキサーのマイク入力用ではない |
| Speaker OUT | キャビネット | 高出力。DI入力へ接続しない |
端子が1/4インチだから同じ信号とは限りません。ラベルとマニュアルを確認します。
DI搭載例
Eden TN501
DI Level、Ground Lift、PRE/POSTを備え、ライブで信号位置とレベルを選べます。
Eden Module
DI OutにGround Lift、Pad、PRE/POSTを備え、ヘッドホン、AUX、1/4インチ出力もあります。アンプを持ち込まない構成の候補です。
Ampeg Venture
Balanced XLR、PRE/POST、-20dB Pad、Ground Liftを備えます。
Markbass Little Mark IV
Balanced XLR Line Out、前面Level、背面PRE/POST、Ground Liftを備えます。
よくあるトラブル
PAから歪む
アンプのDI Level/Pad、ミキサーのPad/Gain、PRE/POSTを確認します。スピーカーの歪みとDI信号の歪みを分けて確認してください。
ハムが出る
XLRケーブルと接続機器を確認し、PA担当者の管理下でGround Liftを試します。電源アースは外しません。
アンプのEQを変えてもPA音が変わらない
PRE設定の可能性があります。個別マニュアルで信号経路を確認します。
DIをつないだらキャビネットは不要?
PAとモニター方法次第です。ライブ用アンプの考え方で会場条件を確認してください。
まとめ
DI OUTは、アンプの信号をPA・録音へ安全に渡すための経路です。PRE/POST、Ground Lift、Pad、レベル、ファンタム電源を接続前に確認し、SPEAKER OUTと混同しないでください。
関連する配線はスピーカーケーブルと楽器用ケーブルの違い、アンプ選び全体は必要ワット数の考え方で整理できます。
出典
- Radial Engineering, What Is a Direct Box?
- Radial Engineering, Direct Boxes: A Brief Overview
- Eden, TN501
- Eden, Module
- Ampeg, Venture Series
- Markbass, Little Mark IV
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